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目がさめると日は高かった。旅宿の鮮やかな色彩の壁の傍で、唯一の敬愛を抱く人が、ジャーファルを見ていた。会議の日程は昼からだっけ、でも彼より遅く起きるなんて、と思いながら瞬いた。彼はおはよう、珍しく寝坊だな、なんて、口づけをくれる。水を飲んでいたのか、湿ったその味は、まるで甘い蜜。
(「朝のホテル」「さめる」「蜜」でシンジャ)

髪から爪から何もかもが浸された毒は、この国の果実に似てどろりと甘い。囓るように爪を口に含んでも、かつての苦みはもうない。気紛れに王が流し込む白濁のせいで、きっと自分の味は変わってしまった。「恨めしい」呟く声は全く本音ではない。強いて言えば、変わった自分を嘆かない自分が、恨めしい。
(シンジャ)



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